電気通信事業法で、端末設備の接続及び配線工事や実地監督は、「工事担任者」という国家資格の専門家が実施しなければならないと規定されていますが
電話設備の保守・点検は法律で義務化されていません
保守契約されている企業や、これから電話設備の保守契約を検討されている方へ
● 電話設備の保守費用が妥当なのか?
● そもそも保守契約は必要なのか?
そんな悩みを抱えている方へ、保守契約の判断基準を
100社以上の電話交換機リプレース経験がある私から、アドバイスいたします。
保守と保証の違いを理解する
保守と保証について、違いを理解することが大切です。
■ 保証とは
メーカー保証は機器単体を保証し、一般的に保証期間は6ヶ月~1年間。
保証期間中に機器が故障した場合は、メーカーで無償修理する。
故障を特定するための作業や機器運搬費などの経費は保証外とされる。
■ 保守とは
電話設備の安定運用を維持するための点検業務、故障時の現地駆付け・切り分け作業及び復旧作業が保守範囲となる
保守点検の必要性をチェックする
下記のチェック項目に1項でも該当するようであれば
保守契約を検討・継続されても良いかと思います。
土日祝日に業務を行う業種
工事業者への機器増設・移設や設定依頼が頻繁にある
社内LAN設備も同じ業者で構築している
電話設備の故障が発生した場合、当日復旧が必要
電話交換機・PBX本体の不具合が発生した場合、外線の発着信を含め電話が全く利用できなくなる場合もあります。
電話機1台程度の故障であれば、翌日以降の対応でも問題ない企業でも、電話が全く使えなくなった場合に、業務に与えるインパクトがどの程度あるか、確認しておく必要があります。
故障時にスポット対応する工事業者も多くありますが、あくまでも保守契約をされている企業や通常業務を優先されるため、故障時の当日復旧が必要と判断した場合は、保守契約書でその旨を記載し契約する必要があります。
土日祝日に業務を行う業種
土日祝日に電話設備に故障が発生した場合、工事業者の代表電話番号に電話しても、業務時間外の留守メッセージがアナウンスされ、故障受付さえできない事になります。
保守契約で土日祝日を含む受付を契約した場合、受付専用電話番号や、留守番メッセージに故障内容を録音しておくと、保守員から電話の折返しがあるなど、土日祝日の故障受付・駆付け対応が可能です。
工事業者への機器増設・移設や設定依頼が頻繁にある
事務所内のレイアウト変更による内線電話機の移設や増設、組織変更によるダイヤルイン着信の変更など、年間を通して何回か工事依頼をしている企業であれば、保守契約によってコストメリットを生んでいる場合があります。
保守契約がある場合とない場合で、工事料金が変わる工事業者が多いためです。
工事業者に、保守契約によって工事料金が変わるか確認し判断基準の参考にしましょう
社内LAN設備も同じ業者で構築している
中小企業では、電話設備やLAN設備、監視カメラなどIT機器を同じ工事業者へ依頼しているケースは多くあります。
ひかり電話回線とインターネット回線を同一のひかり回線で運用したり、IP電話を社内ネットワークで利用するなど、設備を切り分けにくい状況であれば、トータルでサポートできる工事業者と保守契約し、IT機器の管理も含め、アウトソーシングすることでIT業務の手間を省くことができます。
保守契約に付帯されるメリット
保守は、安定運用を維持するための点検業務、故障時の現地駆付け・切り分け作業及び復旧作業ですが、保守契約することで得られる、工事料金の低価格化や軽微な設定作業の無償化など、コストメリットを生むケースもあります。
電話設備の故障が、どれほど業務に影響を与えるかで、保守契約の判断をするようお勧めしますが、保守契約に付帯される内容も参考となります。
まとめ
電話設備の法定耐用年数は6年とされていますが、6年で買い替えを推奨するタイミングではありません。(法定耐用年数については、別記事で解説していますので参考にしてください。)
また、電話設備の保守点検は法律等で義務化されている訳でもなく、成熟した機器で故障率も低いと言うのが実情です。
しかし、電話設備は業務にかかせない設備で、故障時は、最短で復旧を求められる設備であることは間違いありません。
また、電気通信事業法で、端末設備の接続及び配線工事や実地監督は、「工事担任者」という国家資格の専門家が実施しなければならないと規定されています。
保守は、継続して契約することができればベストですが、出来ない場合は、会社の代表番号にかかってくる電話を、故障時にボイスワープなどで、携帯電話に転送できるようにするなど、対策を講じておくことをお勧めします。